10月26日(木)インフィニティ(かなり不穏なハッピーエンド)

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(2015年 オーストラリア映画)

 

 よくよく考えると映画にとってハッピーエンドは重要ではない。

 

 この映画の結末は、いわゆるハッピーエンドではないし、言いかえると一部不穏さの残るハッピーエンドというか、表向きハッピーに見えるバッドエンドというか。

 それでも、私はハッピーなんじゃないかと思う。

 

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 この作品は未知との遭遇がテーマになっていて、さらに言えば舞台が銀河系で最も地球から離れたインフィニティという惑星で、そこは光も生命もない場所だ。

 

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時は23世紀、スリップ・ストリーミングという方法で物質をデータ伝送できる装置が開発されており、人類はデータ化されて、銀河系を瞬時にタイムワープする。タイムラグが生じるために、地球での一分がインフィニティの24時間になる。

 そういう時空間で、インフィニティで大事故が発生し、救出に向かった戦闘部隊が全滅、一人の生存者が取り残されてしまう。

 緊急救出班が再結成され、インフィニティに伝送されるが、そこで彼らを待ち受けていたのは未知の獰猛な捕食者だった、という筋書き。

 

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 この映画はSFスリラー風味であり、暗いインフィニティの基地で繰り広げられるサバイバルが表面的にはゾンビ合戦に近いことから、かなりマーケットが狭まってしまう作品になっている。

 それでも、この映画はタイムラグやスリップストリーミングで瞬時に移動できるガジェットや、謎の捕食者の特性、取りついた生命の体内組成を正確に複製するということ、事件の場所が銀河系の最果てであるということなど、そのすべてが物語の設定として正確に機能していて、見ていて安心できる。

 さらに言うと、あまりにかっちりと完成されすぎていて、非の打ちどころがない。ラストは冒頭の繰り返しになるが、不穏な雰囲気のたちこめるハッピーエンドであり、その複雑さも背すじがぞくぞくする納得感がある。

 私はこの作品がすごくよくできたスリラーだと思うし、それ以上に人類と出会った未知の獰猛な生物が生き延びるために、人類のサバイバル術を学びハイブリッドに進化する成長物語だと思う。

 人類が頭脳を発達させ、他者と協調することで地球の支配者となりえたように、惑星インフィニの生物は、人類を捕食することで私たち人類のおおげさに言えば英知を学び、人類と妥協することを選んだ。

 互いが生存するために、互いのよさを取り入れるために自分たちの持ち分を失うことは必要な妥協だ。そうして人類とインフィニの未知の生物の結婚式が成立したともいえるラストはたとえ多いに不気味であろうとも、やはりハッピーエンドだと思う。

 

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