10月25日(水)アナザー・プラネット(主演女優に嫉妬するの巻)

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 まだ若い時には、真実を語ることが優しさだと勘違いすることがある。

 

 

 でも、本当に相手を思いやるのなら、自分の中で痛みと罪の意識を秘密にし、一生相手に言わないことが優しさだと思う。

 三十代も半ばをすぎて今はそう思う。

 

 この映画ではそういう私の年老いた発想をあざ笑うがごとく、ブリット・マーリング演じる主人公は自分の未熟さを一見反省しているように見えながら、全く反省していない態度を最後までとり続ける。

 自分が軽率から犯した人殺しという罪に対する罪悪感。

 人は罪悪感から逃れるためなら、他人を傷つけてもいいのだろうか。もちろんそうあってはならないのだが、罪悪感というのはそれほど人に間違いを犯させるものなのかもしれない。

 

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(物語の設定として、もう一つの地球が存在する)

(その地球には、もう一人の自分が存在しており……)

 

 この映画で主人公は罪悪感から逃れたいあまり、罪を犯した相手のためになると思うことを一心不乱にする。

 しかし、それはやはり自分のためでしかない。

 その行為が相手を本当に思うのか、自己満足になるのかは、主人公が秘密を告白するかしないかの違いにある。しかし、この映画で主人公は罪を告白してまたもや罪悪感から逃れようとする。そして、被害者をより傷つける。どうしてこんなことができるのか、ほんとうに年寄りの私はわからないのだが・・・・・・

 

 いつも思うのだが、私はこのブリット・マーリングという女優の演じる女性がものすごくうらやましくなることがある。

 もちろん、演技と演出と脚本のせいなのだと思うが、以前に観た「ザ・イースト」という映画でも未熟な女性を演じており、身勝手で愛を与えるのではなくもらいに行く女性を演じていた。なんて女だと、毎回思うような役柄なのだが、まさか素じゃないだろうな。

 いずれにしても、相手を思いやるふりをしながら、平気で自分中心の振る舞いをしてしまう、年齢と知的美人の見た目にそぐわないおバカな女性を演じるのがもはや彼女の芸風とさえ思えてくる

 

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 そんなわけで、この映画は地球と同じ歴史というか流れを持ち、同じような発展の末に人類一人一人も鏡のように存在するというもう一つの地球があり、そこに行けるというSF風味の設定がある。

 罪を犯した自分がもう一つの地球に行ったら、全く違う人生が待っているのではないのか。そんなSF的設定があるのはあるのだが、そんなことはおかまいなしに、主人公の人生に対する姿勢にとことん疑問とそれの倍する怒りを地味に感じてしまうアナザー・プラネット。

 ブリット・マーリングに嫉妬する回なのだった。