8月14日(月)LIFE(17)舞台、宇宙ステーション。主演、地球外生命体。でも、ゴキブリ退治の雰囲気にそっくりなんですけど……

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 敵対するは、我らが人類の最高頭脳、スペースカウボーイ。

 でも、なんだかすごく既視感。

 これって、ゴキブリ退治の雰囲気にそっくりなんですけど。

 

 

 ストーリー

 国際宇宙ステーションで働く6人の宇宙飛行士は、火星の土壌サンプルからついに未知の生命体を発見した。指先サイズの繊細な糸で構成されたその多細胞生物は、環境を原始の地球レベルに設定すると急速に生命活動を活発化させた。

 未知との遭遇に人類は歓喜。名づけ親は地球の小学生。名はカルバン。

 しかしヒトデのような軟体動物にすぎないと思われていたカルバンは恐ろしい速さで成長。

 ある日生物学者であるヒューの指を透明マスクの上から骨折させてしまう。

 さらに、手近にあった鋭利な道具で密封容器から脱出。サンプルマウスを捕食すると、さらに急成長。ヒューを救助するために、ライアンがラボに突入。火炎放射器でカルバンを焼き殺そうとするが、素早い動きで炎を回避、炎をあびても恐ろしいほどの打たれ強さで、逃げ回る。それどころか、ライアンの口から内臓に侵入し、彼の体内組織を破壊、殺してしまう。ライアンの臓器というたんぱく質を摂取したカルバンはさらに進化。悪魔的な知能としぶとい生命力で人類をひとり、また、ひとりと窮地に追い込んでいく。

 

 レビュー

 まずこの『ライフ』というタイトルがね、色々誤解を招く感じのレンジの広さがあっていいんじゃないかと思います。

 一瞬、NHKBSのスペシャル番組『地球、進化の歴史』的な番組を想像しませんか。想像しますよね。いいと思います。全然間違いじゃありません。

 それどころか、この映画は生命の本質である『先手必勝、皆殺し……してでも、生き残るから!』を地でいく生まれは火星、名はカルバン君、人類の宇宙ステーションで産湯を使い、の地球外生命体のお話なのです。

 

 

 

 

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(最初は、こんなシャーレにおさまるかわゆい粘菌だったのw)

 

 

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(このとき、すでにヒューの指折って、マウスたべさせていただきましたw)

 

 

 

 

 で、ですね。

 

 この映画のテーマは未知との遭遇ではあるのですが、未知との遭遇が二つのパターン、①同盟できるか、2敵対するかでいうと、完全に後者なわけです。

 いわゆる、エイリアン系ですね。私はですね、実はもっとハートフルな出会いを例によって期待していたのですが、もう完全にカルバン君は人類が嫌いですね。

 というか、交流とかできない感じです。

 エイリアンと非常にタイプが似ていて、知能は高いのですが、その学習能力がすべて周囲を『餌』とみなすベクトルに傾いており、地球の生命体の中では、獰猛な捕食中に限りなく近いです。

 例えば、地球史上最強の爬虫類、恐竜とか、宿主を猛烈な速さで食い物にするエボラ熱つまりウイルスとか。

 共生とか、共存とか、妥協とか、同盟とか、そういうのは一切ないですね

 しかも、生命力、知力とも並外れているので、知能だけはスペックが高い生命体である霊長類最強の人類がカルバン君と相対しては、赤子の手をひねるようにばったばったとなぎ倒されていきます。このストレスといらいらは、この映画の誇るべき感情喚起力というもので、感心しました。

 

 

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国際宇宙ステーションなので、日本人もいま~す。真田広之氏が宇宙飛行士として出演 ここだけ雰囲気が違う色気!!)

 

 

 

 

 

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(いまからはじまるライアンの火炎放射器バトルw)

 

 

 そしてですね、私が今回この映画を見て、ものすごい既視感を感じたことがありまして、それをお伝えしたいです。

 それはですね、冒頭にもある通り、この映画は舞台が宇宙であろうと、敵が未知の生命体であろうと、本質はゴキブリ嫌いが遭遇する一人暮らしにおけるG退治の物語となんらかわることがないということです

 

 

 皆さんご存知でしょうが、Gというやつは素早い! しぶとい!! 怖い!!!の三拍子がそろっています。

 

 今回のカルバン君とそっくりです

 

 物語冒頭の航空エンジニアのライアンがカルバンを追いかけながら火炎放射して追いかけるシーンは目を疑いましたよ!!!

 もう火炎放射器、完全にゴキジェット!!?

 

 このあたりですでにB級感ただよう。

 でもねえ、まさか国際宇宙ステーションで、未知との遭遇しているのに、そんな壮大な舞台&キャストでG退治はないだろうと。

 とはいえ、見れば見るほど映像的にライアンの動きとか、くやしい、キモイ、殺してやるっていう気持ちって、G退治の経験とものすごくかぶるんです。

 

 否定しても否定しただけ、思い出しちゃうG退治感。。

 

 そういうわけで、この映画は私の中でG退治モノと位置付けられました。

 

 

 そうは言っても、この映画のそこはかとないレトロ感は置いておいて、カルバン君の虐殺と捕食にかける能力値は非常に高く、ここに生命とは何かという問いかけへの一つのアンサーがみてとれることは間違いないです。

 この映画で提示されているのは、なんだかんだ生命とは、他者を排除してでも、自分が増殖生存することを優先するものだという、圧倒的な非情さです。

 

 この自己優先というベクトルは生命の基本ではあるのですが、生命は進化の過程で自己犠牲や利他という概念も取り入れていきます

 たとえば、生命の初期で現れた恐竜は、脳が体の体積に比べて極小で、つまり『生きろ、食え、殺れ』をモットーにその巨大化し、狂暴化した肉体で地上を荒らしまわっていました。しかし、彼らは6000万年という長い期間、ほぼその生命体としてのスペックをほぼ進化させることなく地球を支配し、そして何の前触れもなく絶滅しました。

 そして、生命体としては、ほぼ原始の形を残しつつ、地球と同じだけ存在しているという噂のウイルス。彼らは生命と非生命の間におり、生存するためには、他者の細胞からエネルギーを摂取することでしか生き延びることができませんが、それゆえ増殖する過程で宿主に致命的なダメージを与え、増殖すればするほど自らが窮地の陥るというジレンマを抱えつつ、今のところ人類を含め他の生物にとっては驚異的な生命体です。

 この恐竜とウイルスはどちらも生命体の中では最強と言ってもいい存在でしたが、今、地球で安定的な生命基盤を築いているのは人類です。

 人類は生命のもつ利己的で他者排除の性質は依然として引き継いでいますが、それでも多少なりとも爬虫類から哺乳類に進化した過程において、利他や学習、愛、共生、共存という概念を学んできました

 

 

 自分だけがいいでは、袋小路にあたる。

 

 

 それを頭と肉体に刷り込んだ生命体、それが哺乳類、霊長類、ヒトなのではないかと思います。 

 生命は産めよ、増やせというシンプルな目的を持っています。でも、自分を抑えてでも、殺してでも他の生命を生かそうとするまでに進化してきた部分もあります。

 その生命のある意味必要に裏づけらえたロマンが私は見たい。

 

 

 その対極を行く、『ライフ』

 このまま地球が異常気象に見舞われ続けたとき、宇宙でなくとも、カルバンレベルの生命体が人類の刺客となって放たれるかもしれません。

 それが、エボラであったり、他の強力なウイルスであったり。

 地球全体の生命のバランスからいけば、人類は増殖しすぎたと言われても仕方ないのかも、と思ったり。

 異常気象が人類の猛威を振るう昨今、地球にとってカルバンが救世主となる未来が来ないことを祈るばかりです。