8月12日(日)死霊のはらわた(13)前言撤回!  まだまだ面白い伝説のホラー映画ここに降臨!!

 

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 おまえ、何様? 前言撤回にもほどがある!!

これぞ、スプラッタ―ホラーのオールタイムベスト

 

 もう「いまさら」なんて言葉は言わない、と誓ったところで、

「まだ見てなかったの? ホラーマニアの風上にもおけねえな。そんなあなたへ」なんてレコメンドはもちろんなく、たまたま見たら、ゲキレツに面白かったという元祖ホラーキング:サム・ライミ監督デビュー作「死霊のはらわた」(すごい題名)、リメイク版。

 つい昨日、ホラーはもはやゲームに勝てないなんて言ってしまった手前、こそっと前言撤回。

 すいませんでした!!

 このホラー、すっごいおもしろかったです!

 血しぶきのリアルな美しさ、そして臨場感ある激痛描写の数々、安心して怖がって(痛がって)見られる映画はこちらです。

 数々のオマージュ作品を生み出した伝説すぎるスプラッタ、いよいよスタート。

 

 

 

 ストーリー(すみません、今回気合い入りすぎて長めです)

 薄暗く深い森の中、少女が歩いている。

 その足元がふらつく。汚れた靴に青白い顔。

 ひどい目にでもあったのだろうか。

 少女の髪は汗で額に張りつき、顔色は死人のように土気色だ。

 ふいに背後を影が横切る。

 はっとして、立ち止まる少女。

 みると、銃を構えた男が少し先の大木の横に立っている。

 逃げる間もなく、背後から少女は拘束される。

 自分を捕まえようとしている男はもう一人いたのだ。

 少女は悲鳴を上げる。

 だが銃を持った男が少女に近づき、銃床で彼女を殴りつける。

 衝撃に少女は意識を失う。

 

 目を覚ますと、そこは見知らぬ小屋だった。

 目隠しをされているが、縛りつけられているのはわかる。

 体が動かない。

 周囲から複数の息づかいが聞こえる。

 どうやら、たくさんの人間にかこまれているらしい。 

 ひどい匂いがする。

 ここはどこだろう。

 頭がずきずきする。

 いったい、何をされるのだろう。

 ふいにすぐ近くでひどくしゃがれた声が聞こえた。

 「邪悪な本によってなされたことは、本によって正される」

 本のページをめくる乾いた音。

 いっだい、何をしようというのだ。

 声をあげようとすると、一人の人影が彼女に近づいてきた。

 彼女のそばまでくると、目隠しを外してくれたその人影。

 なんと、少女の父親だった。

 少女は驚く。なぜ、パパがここに?

 だが、そんなことより今はここから出たい。

 見まわすと、目の前には老婆、少し離れたところに顔色の悪い男たちがこちらをじっと見つめている。

 天井からは猫の死体がぶらさがり、見知らぬ人間に囲まれ、目の前の台には血まみれの刃物が並んでいる。

 こんな場所でこれから自分に起きることを考えたくはなかった。

「パパ、助けて、家に帰りたい」

 彼女はありったけの懇願を父親に向けた。

 だが、父親は無言だ。

「なんでこんなことをするの。この人たちはいったいだれ?」

 少女は恐怖と困惑の混じった声で問う。

 父親もまた困惑と悲しみに満ちた目で娘を見返す。

「この人たちは助けに来てくれたんだよ」

 助ける? 何をいってるの。どうやって助けてくれるっていうのよ、こいつらが。

 家に帰りたい。

 家に帰りたいのよ!

「パパ、ママはどうしたの?」

ママは死んだよ

 父親はゆっくりと言った。

お前が殺したんじゃないか

 何?

 何を言っているの、パパ。

 パパはおかしくなっちゃったの?

 そのとき、老婆がいった。

「はやく、魂を救う方法を実行するのだ!」

 老婆は本をめくりながら叫んだ。

 そのページには火破りの版画絵が描かれている。

 まさか。

 父親はペットボトルをとりだすと、その中身を彼女にむかってかけた。

 灯油だった。うそでしょう、

「ごめんな」

 父親がつぶやくように言う。

 老婆が再び叫ぶ。

「はやく、はやく娘の魂を救うのだ!」

「パパ、私よ。忘れちゃったの?」

 だが父親は聞こえなかったかのようにおもむろにマッチをする。

 パパ、パパ、パパ。パパは正気を失っている!

 そんなパパのつけるマッチはしけっているのか炎はつかない。

 助かった。今がチャンスだ。

 少女は必死に懇願した。

「パパ、お願いやめて」

 だが、父親はマッチをする手をとめない。

「お願い、パパ。パパの魂をひき裂くわよ」

 父親が娘を一瞥した。

 その目には強い光が一瞬ともった。

 マッチをこする手に力が入り、地獄の業火とも思える炎がマッチの先についた。

 その瞬間、少女の中で意識がとぎれた。

 代わりに憎悪と呪詛にまみれたエネルギーが彼女の体と意識を支配した。

お前の魂をひきさくぞ! ウジ虫め!

 少女の声をとも思えないしゃがれ声が父親を罵倒した。

 一瞬にして、少女の目はにごり、悪魔のような醜悪な形相で父親を睨みつけた。

 マッチがいまや少女の皮をかぶった醜悪なバケモノの足元に落ちた。

殺してやる! 殺してやる!

 それは叫んだ。

 炎が少女の肉体を包んでいく。

 それは、うめき声をあげながら、炎の中で、叫び続けた。

 黄色い濁った眼で憎しみの目で彼らを見つめながら。

 地獄の業火に焼かれながら。

 

 

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(こんな廃屋、悪い予感しかしないですよ)

  

 

 深い山麓の間を一本の道が続いている。

その道を一台のジープが走っていく。

 朝霧がうっすらとたちこめる川辺をぬけ、たどり着いた先は廃屋だった。

 ジープを停め、デビットは小屋からでてきた女性に挨拶をした。

 オリビア

 彼女は浅黒い肌に知的な目をしたスタイル抜群の看護師だ。

 オリビアを一緒に乗ってきたガールフレンドのナタリーに紹介する。

「2時間の遅刻だぞ」

 ナタリーの背後から男の声が聞こえた。

 見ると長髪に眼鏡姿のエリックがデビットにむかって無表情のまま顔をあげた。

 なつかしい顔ぶれだった。

「高校教師らしいな」

 デビットがエリックをハグすると、エリックが小声で言った。

「彼女は裏庭にいる」

 デビットはうなずいた。

 そう。

 俺は彼女に会いに来た。

 彼女に対する償いをするために。

 母親に先立たれ、兄に捨てられた妹、ミア。

 ミアが重度の薬物依存になった理由の一つは、間違いなくデビットにある。

 だからこそ、これがラストチャンスだった。

 俺たち兄妹の関係をやり直すための。

 だから、これは楽しいピクニックになんかならないだろう。

 

 裏庭に行くとミアがいた。

 青白い顔だが、昔のまま。

 思ったよりひどくない。

 一瞬、簡単にうまくいくのではないかと思った。

 ミアの薬物依存症の克服。

 ミアの人生。

 ミアと俺の家族関係。

 ミアはデビットを見ると顔をあげた。

「驚いた。来るとは思わなかった」

「来るよ。兄貴だからな」

 デビットはミアに意志が強くなるという願いのこもったペンダントをプレゼントする。

 ミアは少し笑うと、立ち上がった。

「さあ、はじめようか」

 ミアはみなの前で井戸を囲み、薬を井戸に放った。

 これから、禁断症状がこようと、絶対我慢してみせる。

 その誓いだった。

 

 デビットはそれをみると安心した。

 大丈夫だ。

 きっと、うまく行く。

 だが、その矢先、看護師のオリビアとエリックから昨年もミアが治療に挫折したことを聞かされる。

 すでに過剰摂取をして、心停止したこともあったようだ。

 電気ショックで蘇生し、次にこんなことになれば、いつまで体がもつかわからない。

 デビットは自分の楽観的な考えにうんざりする。

  

 その夜、ミアが部屋が匂うと言いだす。

 まるで死体の匂いがするというのだ。

 禁断症状で神経過敏になっているのだろう。

 午前0時近く、ミアが叫びだす。

 薬が切れたのだろう。わめきだし、オリビアが鎮静剤を打つ。

 ミアは部屋の匂いに耐えられないと訴えだした。 

 神経過敏だ。

 匂いなんてしないじゃないか。

 だが、そのとき、飼い犬がリビングのラグをひっかいてはがした。

 犬もなにかが匂うと思ったのだろう。

 ラグの下から地下室の扉がでてきた。

 血まみれの何かを引きずり入れたような不気味な染みが円形に扉につづいている。

 匂いはここからするのだろうか。

 地下室に降りていくと、ミアの言ったとおり地下の天井からは動物の死体がぶらさがり、そこには猫の死体もあった。

 いったい、なんなんだこれは。

 この地下室でなにがあったのだ。

 何かをもやしたのか一本の柱が真っ黒に焦げている。

 机の上には黒いビニールでつつまれ針金で幾重にも封印された黒い包みが放置されている。

 エリックは興味を持ったのか、それに手を伸ばした。

 

 翌日、陰鬱な雨が降っている。

 ミアは雨の中、傘もささずずぶ濡れになってぐるぐると庭を回っている。

 すでに限界を通り越して、肉体的にも精神的に追いつめられている。

 

 その頃、エリックは地下室から持ち帰った包みを開封しようとしていた。

 ペンチで針金を外し、黒ビニールをひき裂くと中から現れたのは本だった。

 羊皮紙だろうか。

 動物の皮を継ぎ合わせた厚い表紙をめくると、不気味な言葉が上書きされている。どうやら思ったとおり何か悪魔的な儀式のために使うもののようだ。

 この本に関わるな。

 だれかがそう書いた手書きの文字が読み取れる。

 それを読んだとたん、エリックは自分でも抑えがたい衝動に駆られてページをめくり始めた。あまりに興奮しすぎて、針金に指がからまり、血の雫が本に落ちた。

 かまわず読み進めると、これまた好奇心をそそられるフレーズが目に入った。

 唱えるな、書くな、聞くな。

 扉がひらかれる。

 いったいなんのことだ。

 地獄の扉でも開くというのか。

 エリックはそっとページを指でなぞった。

 指先に微妙にでこぼこを感じる。

ページの上で何かを書いたのだろう。

 エリックはその部分に紙を押し当て、鉛筆で軽くこすった。

 文字が現れた。

 クンダ

 エリックは声に出して読んだ。

 そのとき、森の奥で何かが目覚めた。

 アストラダ

 エリックは次々に紙をあててこすった文字をよみあげていく。

 モントセ。

 カンダ

 目覚めたそれは呪文に導かれ、森を走り抜け、小屋に近づこうとしていた。

 庭にはミアがいた。

 なにかがくる。

 気配を感じ、顔をあげたとたん、強い吐き気が襲ってきた。

 こらえきれず、その場で嘔吐する。

 もう、勘弁してよ。

 つぶやいて、顔をあげると、数メートル先の木々の間に人が立っていた。

汚れすすけた白いワンピースを着た少女。

その少女は顔を俯けたままあきらかにミアをじっと見つめていた。

 

 こんなところにはいられない。

 ミアはみなが取り押さえるのもかまわずに、車のキーをひったくって小屋を出る。

 車にキーを押し込み、エンジンを回す。

 小屋からできるだけ離れたい。

 ミアの乗る車は森を猛スピードで駆け抜ける。

 はやく、ここから離れないと。

 しかし、思っているのとは反対に自分で自分が何をしているのかわからない。

「なんでこんなことしているの?! 」

 口に出したときにはすでに遅かった。

 目の前にさきほど見た少女が立っていた。

 慌ててハンドルを切ると、車は転がるように道路を外れ、池に突っ込んだ。

 やっと思いで池から這い上がるが何かが追いかけてくるあの気配は去らない。

 ミアは森の中を逃げた。

 だが、ツタが絡まり、前に進めない。

 そのツタはもがけばもがくほど、ミアの体に巻きついてくる。

 まるで、生き物のように。 

 ミアはいつのまにかツタの木にからめとられ、身動きがとれなくなってしまった。そのツタはゆっくりとミアの足元から這い上がってきた。

 やめて、やめて!

 だが、ツタはゆっくりと彼女の体にまきつき、体の自由をうばいにかかった。。

やめてよ!

叫んだとたん下腹部の痛みと異物感がおしよせ、気を失った。

 

デビットたちはミアを小屋に連れ戻したが、彼女のうわごとはひどくなる一方だった。禁断症状がおり、被害妄想と幻覚は悪化し続ける。ミアを拘束するしかないと判断するデビットたちだったが、ミアにはすでに死霊がとりついていた。

そして、その夜、惨劇がはじまる。

 

 

 レビュー

 ほんと、昨日の今日で申し訳ないのですが、すごい面白かったです

 死霊のはらわた

 邦題のすさまじさよ、という感じですが、「イーブル・デッド」という原題の『邪悪な死体』というより、作品の的を得ているんじゃないかと思います。

 すごい血みどろの連続なのです。

 ジャンルは「スプラッタ」。日本語で「血みどろ」にカテゴライズされるこの作品、まさに腕が切れたり、腕が引きちぎれたり、ニードル銃で顔銃打たれたり、よくもまあこんなに痛さを前面におしだしてくれますね、という「激痛」映画です。

 ただし、笑えないくらい痛みの連続で、感動します。

 今回、監督の強い意向でCGではなく、特殊メイクや、血も大量の液体を使い、この手間ひまかけた感じが、痛みのリアリティに繋がっていたのではないかと思います。

 不思議なもので、やっぱりCGではなくて、現実質量のある特殊メイクや液体をつかうと、映像に重みというか重力というか存在というかそういうものが感じられて、汚くて痛い画面でも、リアルさが感じられて、なんか実存の安定を感じるようです。そして、それが安心感につながるというね。

 平たく言うとレトルトパウチではなくて、手作りの料理を出された温かみがあるというかね、そういう感じです。

 で、それが行きつくとどうなるかというと、チェンソーや、バールやナイフという刃物が画面に登場しただけで、条件反射的にその使用用途と結果を想像してしまい、「イッター」となる。

 いやいや、どうなるかわかってるよ。

 もう嫌な予感しかしないよ。

 いいよ、それで腕とか切断するのやめよ。

 つーか、ノコギリかよ。

 銃でいいじゃん。

 なんで、いまさらローテク。

 やめようよ、ほんと。

 足とかかすったら痛いし、まじむりむりむりむり、

 むりーだって!!

 とか、一人でみながら叫んで、笑っちゃうっていう。

 ホラーってコメディですよね。

 そういうわけですね、なんだかすごくよかったですよ。

 なにがよかったって、これもうホラーにおけるお約束。

 落語でオチがわかっていても、聞いちゃうということで、言っちゃいますが、とにかくヒロイン以外全滅です。

 その全滅の爽快感。

 ストレス、ストレス。ストレス。

 でしかないわけですが、最後の最後に死霊を追っ払ってやったぜ、という爽快感がすごいです。

 感動です。

 よく、こんなに血みどろにしてくれたよね。

 感動した!

 というところでしょうか。

 ラストの血の雨に液体190トン使ったらしいです。

 すごい、

 これが、感動に間違いなくつながっています!

  

 そして、今更ながらキャスト紹介。

主人公デビットにシャイロ・フェルナンデス。

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すごいいい男です。

 この作品以外の彼の出演作で知っているのは『ザ・イースト』だけですが、この時も綺麗な顔をした子だなあ、と思っていたのですが、今回の彼は、私のヒットでした。

 私は男性の顔のストライクゾーンがめちゃめちゃ狭いので、自分でもヒットという俳優さんの顔があまりないのですが、今回このシャイロ君は個人的にはかなりよかったです。日本でいうと高良健吾君でしょうか。

 あまりに綺麗な顔なので、ヒロインは死んでしまい、このハンサムなシャイロ君が生き残るのかな、と変な深読みしたぐらい華と色気のある俳優さんです。

 そして、いま軽く殺したようになりましたが、堂々と生存するヒロイン、ミア役にジェーン・レヴィ。どこかで見たと思ったら、昨日さんざんなレビューをした『ドントブリーズ』のロッキー役で出演してました。ほんと、すんませんでしたー!!

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(主演ヒロインジェーン:普段はこんなかわゆい女優さん)

 

 

 

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(『ドント・ブリーズ』のロッキー:今回とはまた違う雰囲気ですね)

 

 

この作品では、前半↓

 

 

 

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(薬中でこんな残念な犬木加奈子のマンガみたいなかんじ)

 

 

 

で、後半

 

 

 

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(後半のメイクアップ後、ギャグです。もう、完全にギャグです

 

 

 

 で、実は『ドントブリーズ』もこのリメイク版『はらわた』も制作はサム・ライミということでこの二人はキャスト&スタッフで『共演』しています。

 ジェーン・レヴィ

 よくもまあ、こんな怖い映画ばかり出演するわいな、と同情してしまいますが、この作品でもサバイバルするラストから応援したくなる強さと根性を発揮。

 こういうバケモノに打ち勝ってしまうアメリカ女の強さがあるからこそ、フランス人女優が光り輝くというかね、フランス人女優でこういうホラーつくってみろ、って感じですよね!

 そういうわけで、ラスト近く死霊から解放されたミアが死霊と血みどろの惨殺タイマン勝負するシーンは幼いときによくゾンビに襲われる夢をみた私がやっていた姿とかさなり、デジャブ感満載でした。

 もう私もフランス女優のようなたたずまいは無理でしょう。

 というわけで、汚名返上、ホラー映画はまだまだ大丈夫というわけでお別れの時間です。