7月20日(木)映画:インターステラー(「未知との遭遇」は地球外生命体から、時空を超えた自分自身との邂逅へ)

7月20日(木)インターステラー

 

未知との遭遇」は地球外生命体から、時空を超えた自分自身との邂逅へ

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 宇宙探査と国防費、実際のところどちらの割合が大きいのだろう。

 40年前、はじめて人類は「持続可能(サスティナブル)」という概念を意識し、それ以後この地球の資源が有限であることに気がついた。

 形あるもの、必ず壊れる運命にあり、物体は消失する運命にあり、それは宇宙の熱力学第二法則にあるとおりだ。

 それに科学を持ち出すまでもなく、古来より諸行無常という仏教的フレーズがあるではないか。

 そういうわけでこの世のものはすべて有限で、こんな当たり前のことに本当の意味で人類が「気がついた」のはかれこれ40年前になるそうだ。

 とはいえ、現在もまだ、人類は本当の意味でこの限りある資源については、「思い知っていない」。

 日々アップグレードされる異常気象は、人類の消費活動と連動していることはわかりきっている。

 それなのに今目の前の生存を優先する多くの人類によって、地球はますます生物にとって住み心地の悪い場所になっている。

 

 科学者は言う。

 今後持続可能という言葉は「生存可能」と同義になっていくだろうと。

 

 

 そんな世相をうけてか、2014年制作の映画「インターステラー(日本語で惑星間・飛行という程度の意味)」で展開される宇宙探査は、のんきな未知への挑戦ではなく、人類が移り住むための地球外惑星を是が非でも探すことにある。

 もはや、宇宙旅行は単なる好奇心では済まされず、切実なミッションとして人類の前に立ちはだかってきた。

 

トーリー

 

 近未来。

 地球は異常気象により、作物の枯れ果てた大地と化した。

 そんな中、宇宙探査費を極限まで切り詰められ地下組織となり果てたNASAはラザロプロジェクトという極秘のミッションを継続していた。

 ラザロミッションとは太陽系に突如として出現したワームホールを抜け、人類が生存可能な惑星を探査するプロジェクトで、すでに3名の飛行士を宇宙に派遣していた。

 元宇宙飛行士のクーパーは愛娘マーフの反対を押し切って、人類と家族のためにプロジェクトに参加する。

 先発した宇宙飛行士から送られてくる信号を頼りに、無事ワームホールを抜けて彼らの待つ惑星にたどり着くが、数々のトラブルにより、メインの母船は損傷し、地球への帰還は不能となってしまう。

 さらに、重力のゆがみにより彼らにとっての数時間が地球での数十年にもおよび、娘のマーフは父親と同じ年になっていた。

 その頃、地球に残されたマーフはラザロ計画の責任者であるブランド教授からラザロ計画の新の目的は地球を救うことではなく、地球を放棄し、地球外に出ていくことだと知らされる。

 なぜなら、地球の滅亡を止めることはできないが、地球外に出ていくためには、重力の問題を解決しなくてはならず、、そのためにはブラックホールの中で計測された数値が必要だったのだ。しかし、地球にいるかぎりそのデータは観測できない。

 絶望的な状況に打ちひしがれ、とうに死んだと思われる父親あてに悲痛なメッセージを送りつづけるマーフ。

 一方クーパーは仲間の宇宙飛行士に最後の望みをかけ、自分は仲間を救うために、AIとともにブラックホールに落ちてゆくことを選択する。

 しかし、そのブラックホールの中は、地球の自宅のマーフの部屋のつながっており、さらには、時間的には彼が地球を出発する時点の過去だった。

 クーパーは娘のマーフの才能を信じ、ブラックホールの中で観測されたAIのデータを時計の秒針を使って送り続ける。

 マーフは子供時代にNASAの場所を探り当てたときに感じた幽霊の存在を思い出し、父が時空を超えて自分にメッセージを送っているのだと確信する。

 そして、ついにマーフは父親から送られて来たデータの解析により、重力の問題を解決し、スペースコロニーに地球人を移住させることに成功する。

 クーパーもまた、閉じ込められた空間から脱出し、宇宙空間を漂っていたところを救出され、娘の作ったスペースコロニーに迎えられる。

 クーパーは年老いたマーフと再会し、最後の望みをかけていき別れた宇宙飛行士の待つ惑星に向かうため、宇宙へと再び旅立つ。

 

 

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 ああ、もうなんていうかこの映画、号泣でした。

 あのですね、クーパーと娘マーフの別れ、再会、一方的な数十年に及ぶビデオレターなど、泣ける要素満載なつくりが悪いのですが、とにかくずっと後半は泣いてましたよね、私。

 まあ、なんで泣きっぱなしだったかというと肝心のSF的ギミックについては全く理解が及ばなかったせいで、ストーリーに没入したというのが敗因でしょうか。

 この映画、わかる人がみれば、すげえって思うんでしょうけど、そこは「10歳からの相対性理論」というかなりわかりやすく説明がついたブルーバックスさえ三十路をすぎても理解できない私なので、理解しろいうほうが無理でしょう。

 

 というわけで、私のように理系音痴はいさぎよく、そうしたハードSF的メカニズムは忘れてストーリーを追うことだけに専念してもそれなりに楽しめる映画だと思います。

 この映画、簡単に言うと、宇宙空間の先には過去の時空があった、ということにつきます。

 そして、過去の娘に自分のインタステラ―で得たデータを二進法によって伝えて現在(ひいては未来)を変えるというオチです。

 時空を超えるメカニズムが重力にあるらしいんですけど、ここら辺は残念ながら高校1年生ですでに私立文系を選択してしまった私には、どうにもさっぱり。

 

 

 まあ、でもこの映画結論までの道のりがすごく緻密にできています。

 緻密で地味。

 そう、悪くいうと地味です。

 宇宙大戦争っていう要素はもちろん皆無ですし、かといって出先の惑星に超絶ハイスペック文明を持った敵対的知的生命体がいるわけでもなく、展開されるのは重力に海ごと大津波がおきる恐ろしい惑星や、数時間立ち寄った惑星の時間が、母船に帰還したら地球時間で20年経っていたとか、地味に恐ろしい状況が着々と積み上げられていきます。

 あげくの果てにブラックホールの中は過去に繋がっていて、しかしながら完全なタイムトラベルではなく、主人公クーパーはある空間の閉じ込められており、時計の秒針を動かすことでしか過去の娘と交信をすることはできないという地味(緻密)ぶり。

 なので、そこが地に足がついたるリアリティの所以というか。 

 過去にさかのぼってみると、宇宙人からの交信と思われていたものは時空を超えた父親からのものだったというオチ。

 

 いや、いいんですけど、なんかこうチマっとしていると思いませんか。

 発想が。

 いや、未来からの自分と交信なんて、宇宙人と交信するより新しくないですか?

 という意見もありなので、一概に「スケールちっちゃい」と断罪できないんですけど、私の感覚ではなんだかなあというわけです。

 

 もちろん、親子の再会というストーリーは私の最も泣ける展開第一候補なわけで、おおいに号泣したわけですが、ちょっと俯瞰して、SF作品としてみると、理論を積み上げてちまっとしたか、ノーラン監督。

 と、ちょっと思ってしまうわけです。

 

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 で、ぱっと映画をみた感じ、「これコンタクト(97)主演:ジョディ・フォスター」になんとも似た感じがするな、と思いました。

 あの映画も、ワームホールを抜けた先に、未知との遭遇があり、そこではハイスペックな宇宙人と出会って、ジョディが「人類、もっとがんばれる。がんばろう、宇宙探査 ジョディは科学者としてのモチベーションが100アップした」みたいな話なのです。

 いま思えば、今回の「インタステラ―」のように人類の存亡がかかる(主に種としての絶滅・地球と共倒れ)という負のバックグラウンドがないだけに、ノー天気な印象もうける仕上がりになっていますが、だからこそ、ロマン度でいえば、「コンタクト」のほうがずっと、心がほんわかします。

 なんか、「すごいもの観ちゃった」という映画的感動も大きいというか。

 

 種明かしをすると、映画のギミックを担当する理論物理学という理論武装家がキップソーンという学者で、この方は「コンタクト」「インターステラー」両作品に関わっています。例によってかかわり方は詳しくわからないという歯がゆい感じなのですが、素人目に見てもテイストが似ている感じはしました。

 

 

 未知との邂逅という。

 

 

 ただし、繰り返しになりますが、「インターステラー」のほうがチマっとしているという感じなのです。

 なので、「インターステラー」に首を傾げた方は、「コンタクト」を並べてみているといいと思います。

 どちらも二時間半以上で、途中で宇宙空間ならぬ、意識空間を酩酊してしまうことも請けあいですが、この手の映画から伝わってくる「人類は孤独じゃない」というメッセージはロマンがあるし、なんだかこう、生かされているな、という神の手の平の上で転がされているような気持ちのよさを置感じます。

 

 そういう大いなる流れの中で一瞬の生を生きる、小っちゃな自分を感じられれば、人類同士、肌の色や言葉が違っても、仲良くできるんじゃないかな、と思ったり。

そう、宇宙からみれば、人類みな兄弟です。

 

 そういうわけで、「インタステラ―」リアルな宇宙旅行の一つのロマンとして、ご覧あれ。

 

補足:主人公の娘マーフ役のマッケンジー・フォイはとてもキュートで見たことがあるな、と思いましたら、死霊館で登場してました。

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マッケンジー・フォイ。かわゆすぎるので、汚い恰好のほうがよりかわゆくみえる)