7月11日(火)7月に見たリベンジ映画レビュー(プロメテウス)

 映画「プロメテウス」のテーマは最大限に発揮された監督のおちゃめさに尽きる

 

 

 プロメテウス(12)アメリカ:リドリー・スコット監督

           主演・ノオミ・ラパス

 ★★★★☆(4点/5点中)

 

 2093年、地球から惑星探索を目的とした学者チームが派遣された。きっかけは、遡ること4年、スコットランドで発見された35000年前の壁画だった。壁画には星々を指す巨人をあがめる人類の絵が描かれており、同じようなモチーフは交流不可能な世界中の古代文明の中に存在していた。この巨人は、人類の始祖ではないか。学者たちをバックアップする民間企業ウェイランド・コーポレーションの宇宙船プロメテウス号はエンジニアと呼ばれる人類の始祖(エンジニア)と出会うため地球を出発した。

 

 

f:id:hagananae:20170711172419j:plain

 

 というわけで、リドリー・スコット監督の「プロメテウス」。

 ちょっと古いので、たくさんの方がすでに視聴されたかなあ、と思います。

 ええと、みなさん、どのような感想をお持ちになったでしょうか。

 私はですね、なんというか、率直に言うと、

 映像、すんごいきれい。さすが、監督!

 でも、監督、かなりおちゃめな感じで適当さを感じるんだけど、気のせい?

 ……です。

 

 感想は、うーん、複雑ですね。

 なにが複雑って、あの徹底的な映像美にこだわるリドリー・スコット監督なので、色々、こちらの期待から提示された謎の答えがダイレクトにそれていくのを感じても、視界は明瞭なので、許しちゃうっていうか(笑)

 でも、これってプロメテウスというギリシャ神話のキャラがタイトルになっていようが、あの血みどろサバイバルホラーの「エイリアン」シリーズに名を連ねていることには変わりないのです。

 なので、もちろん意識的には「トカゲちゃん、スタンバーイ」なのですが、これはいつものサバイバルホラーのテイストで臨むと「いたっ! いったーい」となります。

 かと言って前評判のメジャーなコピー「これはエイリアンと人類の関係をひも解く生物学的ミステリーである」と脳に気合いをいれてみても、肩透かしにあってしまうという、ひどく微妙なラインをついてくる仕様となっております。はい。

 

 映画の冒頭では原始的で壮大な太古の自然が描写され、雲海の中にたたずむ高い山、衛星からの眺望である複数の河川が蛇のようにのたくる地形、夜明け前の荒涼とした大地のショットが続き、パソコンの画面でみている私でも、

 「これ映画館に行くべきやった!」と後悔のヘリケーンに襲われたり、背後で奏でられるオーケストラの雄大な戦慄は「ナショナルジオグラフィック、光臨か!」という感じで、非常に生物学的進化論的ドラマが始まるような、手抜き感のまったく感じられない洗練された幕開けに胸キュンに拍車がかかるのです。

 もう、監督ったら!

 と手に汗握るのが冒頭です。はい。

 

f:id:hagananae:20170711172709j:plain

 (監督と主演のノオミ・ラパス女史)

 

 ただ、この壮大な太古の自然状態の場所がどこなのか、いつの時代なのかは、わかりません。

 とにかく文明とは隔絶した生物さえこばむような自然。

 そこに一筋の大河が現れます。

 やがてその大河に注ぎ込む爆流に、人影が現れます。

 黒いローブをまとった人影の身長は少なく見積もっても2メートルはあるでしょう。影の頭上、滝の上には楕円形の物体が浮いています。

 おそらく、宇宙船。

 厚い雲に遮られた曇天の元、黒い影はローブを脱ぎ捨てます。

 すると、現れたのは筋肉隆々とした青白い肌、無毛の人類によく似た人型の生物です。彼はおもむろに黒い液体を飲み干します。

 すると、彼の頭上で待機していた宇宙船はそれを見届けて納得したかのように、飛び立ち、液体を飲んだ彼の肉体に異常が現れます。

 白かった肉体に黒いカビのようなものが広がりはじめ、彼は苦痛にうめきはじめ、彼の肉体ではDNAが破壊され、細胞自体が崩れ去れます。

 同時に肉体は、破片となって滝のなかに落ちていきます。

 彼のDNAが大河の中に溶け込んでいきます。

 

f:id:hagananae:20170711172826j:plain

 

 と、これが冒頭のシーンで、これを見て、

 「この白いおっさんのDNAが人類の元ネタになったんだね」とわかった人は皆無でしょう。

 しかし、このあと、宇宙船プロメメテウスが巨人の住まう星にたどりつき、

 そこの巨人の遺体のDNA解析をすると、人類と「完全に一致」したことから、

 この白い巨人こそが人類の始祖(人類をつくったエンジニア)であると証明されたも同然のシーンがあります。

 そこで、ああ、そうなのね。

 と、なるのですが、ここらへんで

 「ちょっと待って、あのトカゲちゃんまだ出てこないんだけど、どうした?」となります。トカゲとは、あのシリーズを通してリプリー先生と戦ったエイリアン先輩なのですが、3分の1を経ても、先輩は、登場しません。

 

 いや、ストーリーは全体を通すと、「エイリアン1」とほぼ同じです。

 つまり、隊員が(今回は学者連)が怪しげな宇宙船廃墟に探索、仲間が一人寄生、そこからパニック、サバイバル戦突入というやつです。

 しかし、今回のプロメテウスは、こう見ていて

 「どこ見ます? 監督、私にどこ見てほしいの?」

 っていう疑問がついつい出ちゃうような感じなのです。

 

 つまり、出だしは「人類の始祖って、もしかしてエイリアンなの?」という期待値。

 しかし、中盤からは「サバイバルホラー(謎を引きずっているけど、謎は回収しないというか、すでに冒頭のパントマイムで見せているっちゃ見せてる)。

 で、そういう「あれあれ?」という気持ちをねじ伏せるかのように、美術的な「新触感」をかぶせてきます。

 

 たとえば、ウィランド・コーポレーションの、見るからに怪しい密命を受けたアンドロイド・デヴィッドが巨人の船の最奥部で、巨人たちの歴史をVRで体感するシーンがあります。

f:id:hagananae:20170711173021j:plain

f:id:hagananae:20170711173043j:plain

 

 このシーンなんか見ていると、

 「すっごい、きれい。プラネタリウムw」

 なんて一瞬トカゲ先輩の宮殿にいることなど忘れてうっとりしちゃいますし、

 そのあとの巨人やエイリアン先輩の進化前のタコとの乱闘はなんか既視感ありつつも、やっぱりみちゃいますし、つまり、最後まで見て、一生懸命見ても、そして見直しても、ほかの方のレビューを見ても、

「結局、プロメテウスって?(人類と巨人とエイリアンの関係って? 生物学、進化論的ミステリーの謎って、そして答えは?)」という壮大な問題提起は空振りしてしまうのです。

 で、監督はというと、インタビューで、「深読みした私(観客)のばか」みたいなことを平気で発言してます。

「プロメテウス?ってタイトル? なんか、かっちょいいっと思ってさ。イメージ、イメージ」

 

 みたいな感じで、監督、おちゃめすぎです。ラブ!

 

f:id:hagananae:20170711173314j:plain

 

 という感じになり、撃沈します。

 あの、例の壮大な問題提起は、いずこへ?

 

 結論、映像がいい感じなんでですよ。きれいです。けっこう、きれいです。

 それで、納得しましょうか。そうしましょう。開きかけた傷口に焼酎もないでしょう。みたいな、感じになります。

 

 いや、いやでもでも、

 私の中で、気になりまくる残る巨人と人類の関係性。

 巨人と聞いて、思い出すのがハードSFの名作「星を継ぐもの」(J・P・ホーガン)です。こちらは、月の裏側で最先端の宇宙服を身にまとった人間の死体がみつかり、それがなんと五万年も前だけど、なぜ、というところから始まるSFミステリーですが、こちらはきっちり謎を回収してくれているので、後日ちらっとレビューします。

 そういうわけで、監督のおちゃめさはきらいじゃないけれど、やっぱり「人類とは」みたいなSFミステリーで「感動」したい気持ちもあったのでした。

 

 

 さて、話は変わって今回、「プロメテウス」が「エイリアン1」の後日譚だという噂を聞いて、この初代まで見直してしまいましたが、やっぱりあの食事のシーンはいいですね。

f:id:hagananae:20170711173412j:plain

 みんなでわいがややっていて、突如、犠牲者Aの隊員のお腹からトカゲがでてくるあの戦慄のシーン。

 人のおなかは食い破るは、血液は強酸だわ、あんた、それでも生物?

 最悪やん、となるわけですが、生まれたてにも関わらず、かなりIQが高いトカゲちゃんと戦い抜くリプリー、初代がなんだかんだシンプルかつ劇的だなと思うわけです。

 

 それから、主演のノオミ・ラパスのことを忘れてました。

 

f:id:hagananae:20170711173446j:plain

 

 この方、全然わかりませんでしたが、「ミレニアム ドラゴン・タトゥーの女」のリスベット役なんですね。

 あの役のキレ具合が派手だったので、本当に別人のような知的女性の極みの役だった今回、美人なのに、不思議におとなしい感じがしました。

 シャーリーズ・セロンが学者たちのお目付け役として共演しているのですが、こちらが妖艶過ぎて完全にノオミ氏を食べてしまったような。

 噂では、セロンが当初はヒロインだったとかいうので、そのへんのミスマッチも、予算や時間の関係だったのか、監督のおちゃめさだったのか、気になるところです。

 そして、「プロメテウス」続編は、今年9月に上映予定だそうなので、みなさん、監督の映像美に期待して、観に行こうではありませんか(嘘くさい(笑))

 

 では、そんなかんじで、また次回~w

www.youtube.com