7月4日(日)6月にみた映画レビュー④(ハイエナロード)

 

ハイエナロード(15)カナダ

★★★☆☆(3点/5点中)

 

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 この映画の時期ははっきりしない。おそらく、2001年9月11日のアメリカ同時多発テロから一年後以降のことかもしれない。

 舞台はアフガニスタンの町カンダハル。カナダ軍はいまだタリバンという地元有力者の支配する地域で、ハイエナロードと言われる復興道路建設を計画していた。なぜなら舗装されていない道路では地元武装勢力のスナイパーの待ち伏せ攻撃が頻発しており防御車両しか通行できなかったからだ。

 そこで、カナダ軍は情報将校が主体となり、タリバンとつながりのある地元勢力の協力を仰ぐことにした。

 一方、定期巡回の際、敵に囲まれたカナダ軍が地元の老人に助けられ、あやうくタリバンの攻撃から命拾いをしたという情報が入ってくる。調査の結果、老人はかつてのアフガン戦争でムジャヒディンとしてロシア軍とたたかった伝説的な戦士だということがわかる。

 情報将校であるピート・ミッチェルはタリバンと老人からの協力をあおごうとするが、タリバン側が老人の身内の少女たちを誘拐。老人もまたタリバン側の有力者を誘拐、殺害。二つの勢力が協力しあう象徴となるばずだったハイエナロードでは、憎しみに満ちた互いの勢力が相打ちをする結果となる。

 

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(映画は監督が現地視察を20日にわたり行ったという)

 

 物語の舞台であるカンダハルアフガニスタン首都カブールの南西、パキスタンとの国境付近に位置する。

 古来より貿易ルートとして、戦略上きわめて重要な町であり、歴史的にはアレクサンダー大王が建設した世界最古の町だ。

 このカンダハルは米軍のアフガン侵攻以前にも20世紀にはイギリス、その後にソ連が支配しようとした。二十世紀後半のアフガン戦争ではソ連の攻撃に対して、ムジャヒディンと呼ばれる現地のイスラム戦士たちがアメリカCIAの後ろ盾を経て、抵抗をつづけたという血なまぐさい歴史がある。

 冷戦の舞台で生まれたムジャヒディンの四十年後の姿が、この物語で登場する「砂漠のライオン」と呼ばれる老人だ。ムジャヒディンはアフガニスタンソ連から守った戦士として知られるが、またこの勢力からウサマ・ビンラディンも生まれたと言われている。

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(砂漠のライオンと情報将校ピート。どっちもかっこよすぎて迷う。。まじで迷います。)

 

 この手の映画を見ていると、内戦状態に軍事的介入をする他国(主に欧米)の兵士が犠牲になる割合がほぼ、百パーなので、ほんとうにやりきれなくなる。

 それに、そもそも発端となった9・11以後のアフガンへの対テロ戦争にしても、貧しい国をより生きにくくしただけだったのではないだろうか。

 そして、もっともあの対テロ戦闘以後、私たちの目に焼き付いたのはタリバンのあのターバンに白いシャツにベストにアサルトライフルを肩に下げたスタイルではないだろうか。もう、映画、ニュース、どちらにしてもすげえ怖い、アフガン人という感じである。

 しかし、当然だが、アフガニスタン人も様々で、とくに民間人である村人などは他国の人間、例えば完全武装の米兵でも温かく迎える態度が多くの映画で描写されてきた。

 この映画でも、先日ブログに書いた「スペシャルフォース」でも、アフガニスタンの人はもともとは、異文化圏の人に対する世界基準のやさしさをもった人たちなのではないかと思えてくる。

 それはタリバンとの対比から勝手に私が想像してしまったことなのかもしれないが、そもそも近代史において西欧の無茶苦茶な侵攻がなければアフガニスタンの人々は穏やかでやさしさに満ちた民族ではないかと思ってしまうのだ。

 アフガニスタンに平和が訪れる日はいつかはわからないけれど、私にとって、この国はいつかは言ってみたいそんな国のひとつなのではる。