3月23日(木)必要悪と汚職警官・警察腐敗(1)(映画:日本一わるいやつら)

 

  ちょっと前に見て、どうにも感想がでてこない映画だった。

 それでも観たあとにいやな気分になったことはたしかで、それを一言「つまらなかった」で片づけてはいけないような気がして、ほとんど白紙の感想メモを数日持ち歩いていた。

 二週間たって、結論が出た。

この映画はいかに綾野剛くんがキレキレの演技をしようとエンタメ映画ではない。

 完璧に社会派であり、内部告発をうすいエンタメでカバーしたきまじめな映画なのだ。

 だから、観たあとにすかっとするわけもなく、もやっとした気持ちが持続するのは仕方ない。むしろ、こうしたもやっと効果を喚起するために作られた映画なのだろう。

 

 

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 ストーリーは、10文字で説明できる。汚職警官が捕まるまで、だ。

 

 綾野剛くん扮する新人刑事は、柔道の能力を買われ、北海道警察に就職する。

 当初は強い正義感を持っていたが、先輩刑事が暴力団とつながり、出世する方法を教え込まれてからは、ノルマ達成のために汚職に手をそめる。

 銃や麻薬の摘発を出世の足かがりにするためには暴力団や犯罪者からの情報提供が必要になる、警官の薄給では立ちゆかず借金を重ね、ついには麻薬の横流しに手をそめる。

 やがて仲間の裏切りや横流しの失敗により、左遷され、同時に自らも覚醒剤に手をだし、ついに逮捕となる。

 どこかでみたようなストーリーであり、後半はひたすら人生が下降していくだけだ。

 

 ああ、もう! 見たかいがない! となる。

 

 しかし、全編を通して最期のシーンだけは強く印象に残っている。

 それは、主人公が覚醒剤所持等により拘留されたあとの台詞だ。

 

 内容は、自分の汚職はすべて警察のためにしたことで、こんな自分を拾ってくれた警察に恩返しをしたくてがむしゃらに仕事をしてきた、というものだ。

 哀れさマックスであり、同時に同情したくも共感したくもないと思い、複雑な気分にさせられる。

 なぜ哀れかといえば、それは彼が警察をまさに野良犬だった自分を拾ってくれたご主人様とおもい、忠実にご奉仕してきたにも関わらず、やがてやりすぎてご主人に疎まれ、首をはねられたからだ。

 同情できないのは、彼が本来の市民を守るという正義を忘れ、ご主人と自分の利益を優先したことにより、犯罪に加担し、汚い金で遊び歩いた時代があるからだ。

 

 しかし、哀れさの部分は、心がざわつく。

 

 それは、立場が同じであれば、自分もそうしていたかもしれないと思うからだ。

 映画を見ていれば、彼の顛末は彼個人の問題というよりも、警察の組織全体の在り方だと誰もがわかる。

 

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