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3月17日(金)どっちがおバカだったのか:イケメン業者との世間話

【仕 事】 コラム 【コラム:恋はよきもの、はかなきもの】

恋愛コラム:恋はよいもの、はかないもの

第6回: どっちがおバカだったのか:イケメン業者との世間話

 

 理想や夢を語れないようでは、つまらないと思うのだが、いい年をして理想だけを語っていたら、逆に恥ずかしいし、わびしい。

 私の職場、役所の教育委員会にも様々な業者がくる。

 こちらの注文に迅速な対応を快くしてくれる業者もいれば、そうでない業者もいる。 

 私が対応する業者はおもに50万円以下の小口のものばかりだ。

 それでも、数百万規模につながる案件もないではない。

 ないではないが、企画がとおり予算化して事業になるのは最低でも一年はかかる。

 いや、二年は見込みたい。

 役所はそういうところなのだが、一度事業が始まれば、長期継続契約と言って、3年や5年は同じ業者で続行する事業も多々ある。

 

 そういう企画の窓口を私が世間話の体裁をとって引き受けている。

 

 しかし、いくら役所が暇とはいえ、うちの部署は全然暇ではない。

 むしろ、業者とのおしゃべりを休憩時間に充てたいくらいだ。

 だが、だからといって、実りもしない企画に45分もつきあうほど、私もひまではないし、お人よしでもない。

 

 だが、中には本気で世間話になってしまう業者もいるのだ。

その業者君は私より二つ上の見た目がイケメンで志が高い好青年で、話題が尽きることがなく二人で話をしていると、まるでデートのように話が弾む。

 弾みすぎて、気がつかなかったのだが、この営業君、ほんとうに私との会話ではまったく数字的な結果を出した気配がないのである。

 しかし、三か月に一度来ては、1時間ほど喋っていく。

 私としては、休憩時間だが、彼にとってはどうなのだ?

 彼の話は理想をゆるゆると語り、たとえ実現しなくてもま、それはそれというようなゆるさがある。

 事実、切羽詰まった感はなく、理想の実現に関しても、具体的な戦略もなく、何の玉(切り札)も持たないまま、いつも私との楽しい世間話に終始してしまうのだ。

 さすがに、昨日は彼と別れたあと、ふと考えた。

 

 つまり、私をバカにしてんのか、ということだ。

 正直怒りはないのだが、何の切り札も準備しないで、理想を語るということは、はじめから実現させようと思わないからであり、とりあえず、『訪問した』的な記録を残したいだけなのだろうか、ということだ。

 ここ一年で、三回はそうした長い世間話をして、お互いがどんな人間かわかったので逆に彼のあまりの戦略のなさに、「いやいや、助けてあげたいけどさ、現状打開には、こっちにうまみがないとだめでしょ、それか、そっちがこれ以上無料サービスしたら、続かないよってこっちに脅しをかけるしかないよ。って、なんで私がアドバイスしてるのよ。いやね、これはお互いがイーブンの関係になれないと、長続きしないよね、って思うから言ってるわけ」

 

 というなんだか、最後は占い師みたいな話し方になって、なんだかな、と思うのだ。

 

 この場合どっちがおバカなのだろうか。

 おそらく全体が見えないのは私も彼と同じだが、それで被害をこうむる(費用を捻出する)のはこちらなのだ。

 つまり、私のおバカであることのほうが、深刻なのだ。

 具体的には、行政は業務が多岐にわたり、ほかの部署がこの業者と契約している内容も把握して本当に現在、業者とこっちとどっちがうまみが多い状態なのか、知る必要がある。

つまり、業者との会話において切り札を把握していなかったのは、私のほうだったのだ。

 仕事のできない営業担当と会話をしていたからこそ、こんな目に節穴の開いた私でも被害に繋がらずに済んだ。

 浮かれている場合ではないのはこっちだったのだ。

 彼と知り合って一年、どうも彼のために何かしてあげようと思い、結局こちらがぼられているかもしれない可能性にきづいた私なのであった。

 重ね重ね、私はイケメンに弱いのだと気がつく始末である。