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3月12日(日)第3回 恋の終わらせかた (恋愛コラム)

【コラム:恋はよきもの、はかなきもの】 コラム

恋愛コラム「恋はよいもの、はかないもの」というテーマです

 

第3回:恋の終わらせ方

    史実:カノッサの屈辱からの連想

 

 書庫整理で「チェーザレ」というマンガを見つけた。

 この作品はルネサンス前夜のイタリアが舞台で、途中、世界史的に有名な「カノッサの屈辱」のシーンがある。これは神聖ローマ皇帝ローマ教皇庁のトップ教皇グレゴリウス7世に破門の許しを請うため、雪の中三日間も裸で飲まず食わずにいたという皇帝的には文字通り屈辱的なエピソードであり、世界史的にはローマ法王の権威の絶頂を象徴する逸話だ。

 

だが、ここまで説明していてなんだが、そんなことはどうでもいい。

 どうでもいいのだが、このエピソードである話を思い出した。

 それは職場の女性の先輩の話で、彼女はもうとっくに結婚もして子供もいるが、今の旦那さんと出会う前、学生時代長くつきあっていた男性がおり、結婚指輪まで渡されたが、彼女は考えに考えてその指輪を返した。

 つまり、最後の最後で、別れを切り出した。

 つきあいも長かったから切れずにいたのだろうけれど、結婚となれば一生のことだ。よくよく踏み切れなかった理由があるのだろう。

 それについては詳しくは聞いていないのだが、学生時代、先輩は彼と喧嘩したとき、雪の中で土下座したことがあるそうだ。

 しかも、彼は家の中に入れてくれず、先輩は一晩だったか、頑固に雪の中で過ごしたらしい。

 理由はたいしたことではなく、どちらも引くに引けずこんなことになった。

 要するに意地の張り合いだ。

 こういうエピソードのあるカップルであるから、似たもの同士のテンションで離れられなくなっていったのかもしれない。

 しかし、先輩はぎりぎりでその男性を切った。

 男性にしてみれば、身を切られるような話だ。

 

 私の場合、学生時代の恋愛は長すぎた春だった。

 当時、私は好きになった彼への片思いを2年ぐらいしていると思った。

 だが、どうやら彼のほうもずいぶん前から私のことが気になっていたらしい。

 私はゼミ内に彼女がいる彼に対して、初めから終わりまで彼との友情を保とうとした。

 だが、今ではわかるが、男と女に友情なんてない。

 はじめから私も彼を男として見ていたし、彼も私を女として見ていた。

 しかし二人とも傷つきたくなくて、気持ちを言えなかった。

 そして当時の私は認めたくなかったが、ただ性欲と自分のコンプレックスのために彼に惹かれていただけだった。

 それでも私はSEXだけの関係はイヤだとはじめから言い張り、彼は私とSEXだけがしたかった。

 それについて喧嘩もした。

 今思えばバカな話だ。

 男性から性欲を感じられることは、実際に肉体関係がないまでも、女性にとっては名誉なことだ。

 だが、今でもそうだが、やはり私はそれだけの男とはつきあえないし、まして肉体関係なんて吐き気がする。

 

 そういうわけで、私はただ一言、嘘でもいいから好きだと言ってほしかった。

 しかし、彼は私にむかって一度もその言葉を言わず、したいとだけ、言いつづけた。 

 私は拒み続け、しかし同時に彼を忘れることができず、彼と知り合って二年目で、彼と恋人にはならないままSEXをした。

 

 SEXをすることで、彼は私が彼の女になったと思ったのだろう。

 私はそのタイミングで彼と二度と会わないと言った。

 今思えば、私が本当に別れたかったのは彼ではなくて、彼という体を求めていた何もない私自身だったのだとわかる。