④クリムゾン・リバー レビュー(小説)3月6日(日)

 

レビュー:4作目は「クリムゾン・リバー


映画にもなっていますが、小説のほうはもう、回りくどくて読むのが大変でした。
というのも、この物語は被害者が実は加害者であり、加害者が被害者であったという構造をもつため、
被害者側がなぜ殺されたのかという謎ときを担当する刑事ニエマンスパートと、
加害者は誰なのか、なぜ加害側にまわったのか、という謎解きを担当する刑事カリムパートに分かれているからです。
一件単純な構成なのですが、作者のうんちくと 「これを入手するためのあれ」の迂回がまわりくどく、ぱっと構造をとらえられないところがあります。
なので、今回は構造把握にえらい時間がかかり、同時に作者の力量を思い知らされました。


私がこの物語を好きな理由は、やっぱり加害者と被害者の犯行の動機というのが、きちんとかかれていると思ったからです。
実際は、人物に共感をできる部分は少ないのですが、方向性としてきっちり描こうとしている姿勢が好きです。
また、被害者側がエリート社会を維持しようという狂気じみた全体主義のシステムを作ろうとしていたあたりもおもしろいと思います。
そして、なにより、刑事と犯人のサスペンスラブが一押しですね。
いつかはやってみたい。ロミジュリの王道ですね。笑。

 


シノプシス:閉鎖的な大学町でおきる惨殺事件、田舎町で起きた墓荒らし、

      別個に起きた事件がやがて一つになり、
      二世代前から続く大学の陰謀とその犠牲になった犯人が暴かれる物語

 

ログライン:
山間の歴史ある大学町ゲルノンで岩の間に挟まった死体が発見された。
大学図書館司書のカイヨワのもので、遺体は拷問され、眼球をえぐり取られていた。
刑事のニエマンスは眼球のから出てきた水に汚染物質が含まれていることから、
氷河の水と関係していることをつきとめて、
ライミングを得意とする魅力的な女性ファニー教授に案内を依頼する。

一方、ゲルノンから離れたサルザックの田舎町で小学校から学籍簿が盗まれ、納骨堂荒らしの事件がおこる。
担当刑事のカリムは二つの事件に関連性と見いだす。
納骨堂はジュード・イテロ少年のもので、学校の盗難物が彼の名簿だと突き止める。
やがて彼の存在を消すかのようにクラスメートのアルバムや写真館のネガさえもある人物が持ち去っていたことがわかり、
彼が実は少年ではなく少女で偽名をつかっていたことが判明する。
カリムは写真を持ち出した人物からジュディット(ジュード少年)と母親が悪魔に追われ、身を隠そうとしていたという話を聞く。
小学校教師だったジュードの母親の足跡をたどり、彼女がサルザックにくる前に大学町ゲルノンにおり、
そこで夫を亡くしていたことを知る。
さらに、納骨堂荒らしの犯人がフィリップ・セルティスというゲルノン在住の人間だと判明し、
カリムは署長のアンリをふりきってゲルノンに向かう。

ゲルノンでは、第二の殺人が起きていた。
ニエマンスとファニーが向かった氷河の中で、
カリムの探す男セルティスが眼球をえぐりとられた惨殺死体となって発見された。
ニエマンスはセルティスの身辺調査から彼の秘密の倉庫を捜し当てるが、明らかに片づけられた後があり、
そこに「我らクリムゾンリバーを制す」というメッセージがあった。
被害者の状況から、二人が犯罪に荷担していたことから殺害されたのではないかと推理をする。
その一方犯人の眼球への執着からニエマンスは部下のジョワスノーに眼病治療研究所に行かせていたが、
ジョワスノーはそのまま研究所から直行した眼科医のシェルヌセのところから戻らない。
ニエマンスは医師のもとに向かうが、部下は見あたらない。
そんなときセルティスを追ってきたカリムと合流する。

二人がそれぞれに調査をすすめることになると、第三の事件が起きる。

被害者は眼科医のショルヌセで、現場で探していた部下の死体も発見される。

一方カリムは死んだジュディットの父親の墓に行くと、
そこに花を手向けているのが第一の殺人の被害者カイヨワの妻ソフィーだと知る。
彼女の家に向かうが、姿はなく壁に「クリムゾンリバー」の落書きを隠したあとを見つける。

ニエマンスは部下が事件の真相に近づいたきっかけは眼病研究所にあるとみなし、所長に会いに行く。
ゲルノンの町では大学関係者のエリートが近親婚を繰り返した結果、遺伝病である眼病が頻発するようになり虚弱な子供が増えるようになっていた。
しかし、一世代前から山間部の乳児の死亡率が上がり、大学町の子供たちが頑健で優秀な子供たちが現れるようになった。
原因はわからなかったが、乳幼児の家系を調べるうちに、一部出生書類がかけている箇所があり、原本が図書館司書のロッカーから見つかったことが判明した。
その司書こそ3年前に死亡したカイヨワの父だった。
ニエマンスは事件の真相に近づきつつあったが、大学に帰る途中で車ごとおそわれ、川に突き落とされてしまう。
九死に一生を得、大学にもどり、ファニーに再会するが、調査を進める彼を引き留めるように彼女は強引にベッドに誘う。

一方、カリムは自分を捜査から引き離さそうとしていた
サルザック警察署長アンリからジュディットの母ファビエンヌを悪魔から守るために自分が証明文書を偽造した話を聞かされる。
悪魔とはカイヨワとセルティスだった。
カリムは署長から教えてもらったファビエンヌの家訪ね、真相を聞く。

ニエマンスは記録保管室と図書館でカイヨワとセルティスがエリートの血を再生すること、
そして肉体も精神もハイスペックな超人を作るためにゲルノンと山間部の乳幼児をとりかえ、
やがて成人する子供たちを図書館の勉強室の配置を意図的につくることで
結婚させるシステムを作り出していたことをカリムに話す。
カリムもまた、ファビエンヌから聞いた話を報告する。
ファビエンヌは双子を出産したが、ジュディットの妹は出産時に死んだと聞かされていた。
しかし、赴任先のゲルノンで娘と同じ顔をした少女を見つけ、医療センターに話をしにいくが、
カイヨワとセルティスに命をねらわれ夫が殺害されてします。ファビエンヌ母子は事故にみせかけ、ジュディットの指だけを偽造した死体に縫い込め、自分たちを死んだことにした。そして、ジュディットはずっと生きていた妹の影としていきることにしたのだった。
そのジュディットの妹がニエマンスと関係を持っていたファニーだとわかる。

二人は姉妹を追いつめるが、ニエマンスはファニーと相打ちになり川に落ちてしまう。
カリムも追いかけ続けたジュディットにいつしか思いを寄せるようになっていたが、
彼女の心は復讐にとりつかれ、カリムと相打ちになり、彼女もまた川に落ちていった。