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12月19日(土)極から極へ ファイトクラブ

 

 先週、今週とずっとブラピ祭り。
 今読んでる本にもブラピ主演の映画が出てくるし、本当にスターなんだな、と。

 何をいまさら感いっぱいですが。


 そして、合間にギャング・オブ・ニューヨーク
 ご存じレオナルド・ディカプリオキャメロン・ディアス
 うーん、1990年代半ばに中学生だった私の映画ど真ん中時代のスターのオンパレな今週でした。
 でも、私が当時好きだったのは、ブラピでもレオでもなく、ユアン・マクレガーでした。

 ってそんな告白はいいですよね。

 あ、イーサン・ホークの顔も好きです。笑

 

 で、ファイトクラブ

 再見なわけですが、うーん面白いですね。
 とにかくセリフとディティールが。
 だけど、やっぱりすでに対消費社会に対するテロっていうのが、古くさくなっているなと感じました。


 映画当時は1999年。
 なつかしいです。
 私は高校生でした。

 大学生の時にファイトクラブをみたのですが、そのときはもっとずっとぎゅーんと迫るものがありました。

 主人公(ジャックでいっか)が心底感じている、消費社会を構築するために社畜となっている自分、そして社会に鉄拳をっていうのは、私も大学当時には感じていました。

 なんていうんでしょうね。

 事実上バブルが崩壊し、親以上の世代が積み上げてきた豊かさがすでに下り坂ではあったのですが、まだまだ餓死できない。

 ニートでも死ねないなんて、そういう半端な豊かさ、言い替えれば息苦しい豊かさがまだ残ってたんですよ、当時は。


 だから、きっとそのときにはタイラー・ダーデンのいうアンチ消費社会が鮮烈に機能したはずです。
 実際そうなのでしょう。


 でもですね、すでにあれから十数年。
 ほぼ15年以上です。
 あれから、アメリカも日本は格差が進んで、消費文明がすでになつかしい時代になってしまったわけです。


 相対的に日本は貧乏になり、中間層が崩れかけているわけです。
 そうなったときに、消費文明が恋しい、とそういう感じが今なのであって、おそらく放課後にファイトクラブで生きる実感を味わうために末期ガン患者と抱き合わなくても、鉄拳クラブ活動をしなくても、十分に生きる悲哀を感じるようになっているんじゃないかというのが、私の実感です。

 ファイトクラブを見たときに、妙なもの悲しさを感じたのはそういうわけですね。
すでに消費社会ははるか彼方で、ものが買えなくなっている。
 社会が貧乏になっている。

 

 そういう社会学的ななんちゃって考察とは別に、この映画は面白いわけですが、それは主人公(ジャックでいっか)とタイラー・ダーデンの対極的な人生のスタンスにありますね。
 ジャック自身がタイラーなわけで、彼はまさに鉄拳クラブを率いて消費社会に壮大ないたずらもといテロを企てる加害者となっていきます。

 ジャックは最後の最後に歯止めをきかせるわけですが、結局は間に合わず、死すべき運命に身をゆだねざるをえなくなります。
 とはいえ、そのときには改心して、すべてがよくなる、と希望に満ちた結論を得ているのですが。
 とにかくジャックとタイラーは本当に極端から極端へ思考、行動を移動ました。
 ジャック自身がまさに消費社会にパッケージされて、からめ取られてしまった人間なわけで、そこに煮えたぎる反発を感じていた。

 そしてその反発を行動に移したのがタイラーだった。
 おそらく、統合失調症並の人格分裂をするくらいなので、ジャックの中ではそうとうなせめぎ合いがあったのでしょう。
 消費社会に完全に浸り切りつつも、1パーセントの反発を消し去ることができず、それがじょじょに彼を浸食しはじめた。

 しかし、かと言って完全にタイラーになってしまうほど彼は消費社会を捨てられなかった。
 故にジャックは少しずつタイラーになっていく。
 しかしタイラーはジャックの生き方、彼を生かす社会を憎む権化で、対極の人物だった。

 というわけで、極から極への変身の話。


 この物語の面白さは、やっぱりタイラーの世界へ連発する呪詛満載のセリフなんじゃないかと思います。
 このセリフと、虚勢された闘争心を殴り合いからもたらされる痛みによって人々に広め伝えていく。

 そして、それが広まってしまうという怖さと心地よさ。

 爽快感。

 それに比べれば、タイラーが誰だったのか、ジャックが誰だったのかというのはたいしたことではない。
 もちろん、主人公が二重人格だったことによって、それほど消費社会から簡単には別れを告げられないジャックの葛藤を描く役にはたっていますが。

 それでも、みなが感じている、ばからしい消費者根性。

 そして同時に馬鹿にできない情けなさ。
 それに言葉とクラブ活動という行動によって鉄拳制裁をくれたタイラーはまさにヒーロー。

 

 でもですね、制裁をくれてやるべき世界はすでにタイラーが憎んだ形をしていないのです。

 日本がそうでないのだから、アメリカはもっとしていないはすです。


 今や、消費社会が崩れ、ワーキングプアが続々と生まれ、契約社員からアルバイトへと仕事を追われた人々があふれるアメリカ。
だとしたら、次に現れるタイラー・ダーデンはどんな言葉と武器を使うのだろう。

 そんな疑問がよぎりました。